興和生命科学振興財団 設立35周年記念

令和時代の若き研究者へのメッセージ

名古屋大学大学院医学研究科 循環器内科学 教授
興和生命科学振興財団 理事
室原 豊明

室原 豊明

まずは35 周年を迎えられました、公益財団法人 興和生命科学振興財団ならびに関係者の皆様にお祝い申し上げます。このたびは貴財団の35 周年記念誌への寄稿の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。

私は平成14 年に名古屋大学に赴任して参りました後、平成21 年度から当初選考委員として興和生命科学振興財団に参加させていただいております。平成23 年度からは、当時の理事長の興和グループ会長であられました、故 三輪隆康様の元で評議員を務めさせていただきました。当時三輪様や理事の名古屋大学名誉教授の齋藤英彦先生らにご指導を賜りながら、毎年の業務に参加しておりましたことを記憶しております。平成25 年度からは、現在の興和株式会社社長であられます三輪芳弘理事長の元で、理事会の末席を務めさせていただいております。

興和生命科学振興財団の研究助成金に対しては、毎年全国から非常に優秀な生命科学の研究者が多く応募いただいており、選考委員にとっては採択課題を選ぶのに頭を抱えています。しかしながらここ30 年来、日本という国家が経済的に世界から見て没落して行くのと比例して、いわゆるPhysicianScientist の数も減少し、研究を目指そうとする若い人材が打撃を受けているのではないかと危惧しております。この間、国からの裾野の広い生命科学への研究助成金が減ったことも一因ではないかと思います。そのような中、公益財団法人興和生命科学振興財団におかれましては、貴重な資源から多額の研究助成金を、毎年多方面の科学者に授与されており、ほんとうに頭の下がる思いです。

さて、私はこれからの若き研究者におかれましては、日本の現状に決して怯むことなく、広く世界に目を向けながら医学研究というものに対峙していただきたいと思います。分野は違いますが、最近日本が優勝した野球のWBClassic はその良い例ではないかと思います。諦めずに突き進めばいつかは道が開けてくると確信して、また自分を信じて頑張っていただければと思います。そのような一助に興和生命科学振興財団がなれればよいな、と常日頃から思っております。

最後に興和生命科学振興財団の益々の発展と、関係者様、そして日本の研究者のさらなる進展を祈念いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。